句集『使命』 岡田耕治(現代俳句協会)
砂丘の秋小さな人になりに来る
「鳥取砂丘 三句」と前書きあり。引きの映像で、広大な砂丘にぽつんといる人が目に浮かぶ。
めいめいの向きにてラマの春の夢
「みさき公園 二句」と前書きあり。みさき公園は2年前に閉園に。地元民にはショックでした。
一頭でいること久し夏の蝶
夏の月二つのままにしていたる
秋の蚊と一対一になっており
講義する者には見えてはたた神
砂日傘海には入らない人の
白シャツを入れ抽斗を出る空気
少ないまま終わる螢を視ておりぬ
いつ死ぬかわからぬほどの大夕焼
書き方が、あっさり、というか湿度を感じさせない感じで、
どう受けとめるか、読み手に委ねられている部分も多いのかな,とも。