2021年8月17日火曜日

「鏡」第四十号

ずっと 雨で鳥を見に行けない。庭仕事もできない。感染症蔓延。

☆☆☆


「鏡」第四十号より


全身にもらふ日の斑や青もみぢ  羽田野 令

木漏れ日を浴びる心地よい景。「もらふ」と言う把握が喜ばしさに満ちている。


漱石の脳標本の夏休  倉田有希

2つ目の「の」が不思議で気になる。漱石の脳標本に象徴されるような夏休みだったのか。(どんな夏休み?)脳標本が休んでいるようにも思えて可笑しい。


紅梅のおちょぼ口もて風呼ばふ  八田夕刈

おちょぼ口に納得。八田夕刈さんの「濃絵極彩」14句は時代小説風。


ワクチンを打ち終へし人水饅頭  東 直子

ワクチンの句で成功するのは難しそうだけれど、この句の「水饅頭」は何とも味わい深い。もやもやした複雑なものが表現されている。


ぽくぽくとヒト産まれくる茅の輪かな  前田凪子

茅の輪くぐりをしてこちらに出てくる人を「産まれる」と見たのが新鮮。ぽくぽくというオノマトペも。何回もくぐるので、同じヒトが何回も産まれてくるのかもしれない。


共食ひを覚えてからの蝌蚪の足  三島ゆかり

そう言われてみると、蝌蚪の足がなんだかグロテスクに思えてくる。厳しい生存競争、卵から孵って、足が出るところまで生き残れるのは何割くらいなのだろうか。

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