2020年1月5日日曜日

筒井祥文川柳句集『座る祥文・立つ祥文』

昨年三月に亡くなられた、川柳の筒井祥文さんの遺句集。

「座る祥文」の章は邑書林のセレクション柳人から、「立つ祥文」はそれ以降の句とのこと。セレクション柳人以外に句集がなかったいうことを、意外に感じた。私はなんどかお会いしたことがあるが、存在感のある方だった。表紙に似顔絵がある。そっくり。


筒井祥文川柳句集『座る祥文・立つ祥文』(筒井祥文句集発行委員会)より


省略はいずれ他人がしてくれる

そうと決まってヒコーキを遺書で折る

鼻唄で拾い集める壇之浦

昼の月犬がくわえて行きました

こんな手をしてると猫が見せに来る

人魂が今銀行へ入ったが

あり余る時間が亀を亀にした

春の夜のかりんとうなり国家なり

つべこべつべこべつべこべと刻む

何となく疲れて海に腰かける


ブラックだったり、シュールだったり、シニカルだったり。
けれど、どことなく温かみがある。








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