昨年三月に亡くなられた、川柳の筒井祥文さんの遺句集。
「座る祥文」の章は邑書林のセレクション柳人から、「立つ祥文」はそれ以降の句とのこと。セレクション柳人以外に句集がなかったいうことを、意外に感じた。私はなんどかお会いしたことがあるが、存在感のある方だった。表紙に似顔絵がある。そっくり。
筒井祥文川柳句集『座る祥文・立つ祥文』(筒井祥文句集発行委員会)より
省略はいずれ他人がしてくれる
そうと決まってヒコーキを遺書で折る
鼻唄で拾い集める壇之浦
昼の月犬がくわえて行きました
こんな手をしてると猫が見せに来る
人魂が今銀行へ入ったが
あり余る時間が亀を亀にした
春の夜のかりんとうなり国家なり
つべこべつべこべつべこべと刻む
何となく疲れて海に腰かける
ブラックだったり、シュールだったり、シニカルだったり。
けれど、どことなく温かみがある。
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