句集『柔き棘』 柏柳明子(紅書房)
無患子を拾ふきらひな子のきれい
ムクロジの実は半透明で、振ると中の種がカラカラと音を立てる。
キラヒナコノキレイ、と口に出して言っみるとカ行の音が少し尖っている。きっと当時は大きく切実だった感情。今では小さい欠片のようなものになっている。
こほろぎや畳の縁を避ける父
父帰るかほに木枯張りつけて
家族の句がいろいろとあるが、父のキャラクターが際立つ。
睫毛からつながつてゆく天の川
次々と傘をひらきて卒業す
せつかちにつくられてゆく燕の巣
もう一度神輿のとほる秋日和
夜濯や別の地球にゐるごとし
春の星頭の重きぬひぐるみ
柏柳明子さんは炎環同人(私と同期)。
結社により句の傾向がやはりあると思うが、明子さんはわりと炎環らしい句風の作者ではないかと思う。
白花モミジアオイが今年も咲いている。あとから写真をみたら、またカマキリの子が。
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