『光聴』岡田一実(素粒社)
岡田一実さん第四句集。
前句集『記憶における沼とその他の在処』から3年足らず。その間、作者はきっと日々深く読んで、書いて、俳句と濃密な時間をすごしたのだろう。
文体はかっちりしていて、日常では馴染みのない古風な言葉遣いも取り入れられているが、書かれている内容は現代の日常。ユーモアを感じる明るい印象の句が前句集より増えているように思う。
唾(つ)もて濡るる氷菓かなしも海を見る
蟻はづすためや大きく腕(かひな)ふる
針金の花の如しよ菊花展
大き蜘蛛脚もて蝶をまはし食ふ
読初や♨にゆじるしとルビ
五人囃子のそれぞれの口の形
人影の短く侍り蟻地獄
仮初に涼しと詠みて徐々に情
吾がキャンプ他家のキャンプと関はらず
手を動かしみる阿波踊り思ひだし
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