2021年4月19日月曜日

『光聴』岡田一実

 『光聴』岡田一実(素粒社)

岡田一実さん第四句集。


前句集『記憶における沼とその他の在処』から3年足らず。その間、作者はきっと日々深く読んで、書いて、俳句と濃密な時間をすごしたのだろう。

文体はかっちりしていて、日常では馴染みのない古風な言葉遣いも取り入れられているが、書かれている内容は現代の日常。ユーモアを感じる明るい印象の句が前句集より増えているように思う。


唾(つ)もて濡るる氷菓かなしも海を見る

蟻はづすためや大きく腕(かひな)ふる

針金の花の如しよ菊花展

大き蜘蛛脚もて蝶をまはし食ふ

読初や♨にゆじるしとルビ

五人囃子のそれぞれの口の形

人影の短く侍り蟻地獄

仮初に涼しと詠みて徐々に情

吾がキャンプ他家のキャンプと関はらず

手を動かしみる阿波踊り思ひだし









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