2022年1月9日日曜日

句集『呼応』相子智恵

 句集『呼応』相子智恵 (左右社)

ウラハイの「月曜日の一句」でもおなじみの相子智恵さんの第一句集。

帯の裏の12句を見ても(自薦句でしょうか)どれも納得の解像度。

好きな句はそれに重なるものも多かったけれど、


シイタケの国へ来よとや笠の襞

のちょっと不思議で愛嬌のある感じ、


蟻の巣に突つ込みし棒昨日のまま

のような、少し屈折した心情を感じさせるものにも惹かれた。


北斎漫画ぽろぽろ人のこぼるる秋

座布団持ち車掌交代秋の山

蔦のひげ吸盤あまた家吸ひぬ

風鈴の荒鳴りにして十三個

手を当てて茅の輪に熱のありにけり

見上げゆく路地両脇の干蒲団

青饅や遅参が君の椅子足しぬ

西日受く切られし髪の真中に座し

ひとつづつ脚たたみ鹿もう寝るか

花時やカツ丼の蓋閉ぢきらず


2014年までの作品という、かなり前の句で纏められているということに驚いた。

その後に相当蓄積されているだろう作品も気になるけれど、そういう区切り方もあるのかと。






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