句集『呼応』相子智恵 (左右社)
ウラハイの「月曜日の一句」でもおなじみの相子智恵さんの第一句集。
帯の裏の12句を見ても(自薦句でしょうか)どれも納得の解像度。
好きな句はそれに重なるものも多かったけれど、
シイタケの国へ来よとや笠の襞
のちょっと不思議で愛嬌のある感じ、
蟻の巣に突つ込みし棒昨日のまま
のような、少し屈折した心情を感じさせるものにも惹かれた。
北斎漫画ぽろぽろ人のこぼるる秋
座布団持ち車掌交代秋の山
蔦のひげ吸盤あまた家吸ひぬ
風鈴の荒鳴りにして十三個
手を当てて茅の輪に熱のありにけり
見上げゆく路地両脇の干蒲団
青饅や遅参が君の椅子足しぬ
西日受く切られし髪の真中に座し
ひとつづつ脚たたみ鹿もう寝るか
花時やカツ丼の蓋閉ぢきらず
2014年までの作品という、かなり前の句で纏められているということに驚いた。
その後に相当蓄積されているだろう作品も気になるけれど、そういう区切り方もあるのかと。
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