『俳句新空間』 No.9より
木の実独楽まことしやかに倒れ合う 小野裕三
木の実独楽が倒れ合うのは、実景でもよいが、まことしやかに、と書かれているので、虚として捉えている、とも読める。もしくは、現実であっても、あまりにそれらしい動きで、却って怪しいということだろうか。独楽が倒れる前、大きく揺らぐ。その揺らぎが、虚と実との揺らぎにつながる。
摘み過ぎの土筆を飼ふや硝子瓶 北川美美
野のものを摘む行為は、どこか人を夢中にさせる麻薬的なところがあり、つい摘みすぎてしまう。植物でありながら、動物的な存在感を放つものが時々あるが、土筆もそんなひとつ。飼ふという措辞が腑に落ちた。
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