金山桜子句集『水辺のスケッチ』(ふらんす堂)より
秋めくや魚の吐き出す砂の粒
琵琶湖周辺で生まれた句を中心にまとめた句集、ということを知らなくても、これは淡水魚だと思う。海水魚でも同じような行動はするかもしれないけれど。こういう水辺の小さな魚に目がいくこと、その魚の行動がクリアに見えること、それを「秋めく」と受け取っていることなどから、穏やかな湖岸や川岸の光景をイメージした。
水中にあまたの髭根つばくらめ
涼新た化石に蟹の爪白く
一湾の家並鵟(のすり)は風を得て
鳥籠も置けり商家の雛道具
遠足の子らに車軸の輝けり
いちじくの葉を寄せてゐる蜘蛛の糸
鶏頭の真上に子ども部屋の窓
寒鯉の崩るるやうに動きけり
竹幹を食むとき象の息白く
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