2018年6月13日水曜日

金山桜子句集『水辺のスケッチ』

金山桜子句集『水辺のスケッチ』(ふらんす堂)より

秋めくや魚の吐き出す砂の粒

琵琶湖周辺で生まれた句を中心にまとめた句集、ということを知らなくても、これは淡水魚だと思う。海水魚でも同じような行動はするかもしれないけれど。こういう水辺の小さな魚に目がいくこと、その魚の行動がクリアに見えること、それを「秋めく」と受け取っていることなどから、穏やかな湖岸や川岸の光景をイメージした。


水中にあまたの髭根つばくらめ

涼新た化石に蟹の爪白く

一湾の家並鵟(のすり)は風を得て

鳥籠も置けり商家の雛道具

遠足の子らに車軸の輝けり

いちじくの葉を寄せてゐる蜘蛛の糸

鶏頭の真上に子ども部屋の窓

寒鯉の崩るるやうに動きけり

竹幹を食むとき象の息白く




0 件のコメント:

コメントを投稿