漢詩の訳とエッセイ。
「漢詩」と聞くだけで身構えてしまう。自分にとってはとても遠いもの。今の時代、私だけではなく、そういう人は多いのではないかと思う。
とっつきにくいとされている物を、柔らかく、新しいかたちで紹介しようとすると、元のコンテンツに対して、取ってつけたようになってしまうこともある。が、本書では漢詩の部分と、文章がとても柔らかくつながっている。作者の漢詩との付き合い方が、柔軟で自然なものなのだろう。
エッセイは、作者の生活の様子に触れた部分も多いが、その生活や、思考の方向や知識の広さが私とはかけ離れているため、共感して読むというよりは、違う世界を知って魅了されるという趣で読んだ。(教養や感性にびっくりはするが、偉そうな感じではありません)
ブログ(*)やウラハイ、週俳などに書かれた文章を、改稿されたものもあるよう。ただ、ネットで読むよりも、書かれている世界にすっと惹きこまれる。私は紙の本に対する愛が薄くて、どちらかといえば電子書籍で良い派なのだけれど、紙の本だから伝わってくるものも捨てがたいと再認識。
紹介されている漢詩は、中国の詩人のみならず、漱石や江戸時代の日本の文人のものも。訳の方法もいろいろ。この本を読んで、漢詩との距離が縮まるかどうか・・・それは読んだ人次第だと思うけれど、漢詩から遠い人でも、じゅうぶん愉しめる本です。
(*)小津夜景さんのブログ
フラワーズ・カンフー
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