俳句誌 パピルス 2019年<冬号> より
書架に補遺買ひ足して秋更けにけり 坂本 宮尾
全集などの補遺か。いかにも研究者の書架という感じがする。出版されたタイミングで購入しないと、入手しづらくなってしまうような本だろう。補遺までがずらりと並べられた書架には充足感がある。
この句の書架の本は、よく読みこまれていそうだけれど、私の実家には作り付けの本棚がたくさんあり、家族の誰もさほど読まない全集や百科事典の類で埋め尽くされていた。昭和の時代にはそういう家が多かったように思う。あの頃はなんでも集めてたくさん持っているのがハッピーだったなぁと思う。
夕立あとの雲打ちのべて鞍馬の空 和久田隆子
にんまりと脱衣婆の手に長マフラー 紅林照代
身一つの何処に座りても端居 番場弘
どの家も深き造りや夏燕 嶋玲子
死の順はときどき変はる遠花火 栗島弘
裾に蛸肩に伊勢海老江戸浴衣 小宮山政子
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