先日の加太吟行は、流し雛のあと、なぜか牡蠣の食べ放題。句会はせず、後日、10句出し合うことになった。宿題を抱える身なので、つい雛の句に目が行ってしまう。
息吐いて息吸うてをり古ひひな 武藤紀子
(『シリーズ自句自解Ⅱ ベスト100 武藤紀子』 ふらんす堂 より)
息をしている主体は、古雛とも、雛と対峙している人とも。
雛が年月を経て命が宿るようになり・・・。などと、ベタなホラー系解釈をするより、書かれていることのみを味わいたい。順番が「吸って」→「吐いて」だと、深呼吸ひとつで完結しそう。「吐いて」→「吸って」なので、ゆっくりと、エンドレスに続いていきそうな気がする。
雀より少し大きく更衣 武藤紀子
(同)
この「シリーズ自句自解」は、見開きの右の頁に句がひとつ書かれていて、左側の頁にその句についての文章が書かれている。自句自解は、句と文章の距離感をどうとるか、などが悩ましいと思う。が、本書ではざっくばらんに書かれている。この句は作者自身が大絶賛。「自分ではもっとも成功したと思える句。『更衣』の季語のつけ方が最高だわと自画自賛の句。もっとも何が言いたいか自分でもわけがわからない句。」とのこと。なるほど作者にとっても謎が残るような句が、魅力的な句なのかもしれない。
ところで、このシリーズはそういう企画だから別だけれど、俳句を始めた頃から、句会などで、「自句自解は恥ずかしい、慎むべき」と言われてきて、そんなつもりでいた。でも、俳句甲子園から俳句をスタートすると、ディベートもポイントになるから、当然自句自解が求められ、どこがどう良い句なのか、はっきりと説明できないといけないだろうし・・。それって、はじめから、良さがわかりやすい句を目指してしまったりしないのかな。
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