2018年11月26日月曜日

岩淵喜代子集

自註現代俳句シリーズ・12期 35 『岩淵喜代子集』(俳人協会)より

鶏頭は雨に濡れない花らしき

しれっとした嘘が楽しい。鶏頭ならそんなこともあるかも。


角のなき鹿も角あるごとくゆく

顔が思い浮かぶ。この鹿、可愛い。


初冬の船の食事の見えにけり

客船の食事というよりは、もう少し庶民的なものか。他人の生活を垣間見たことの驚きがある。


滲みでてくる鶏頭の中の闇

春深し鳥に背すぢのあることも

裸子のつまみどころもなかりけり

噴水の虹は手に取る近さなる

豆の筋たまりてそれもみどり色

遠くから見たき地球に糸瓜垂れ

ストーブに貌が崩れていくやうな

反対の崖にままこのしりぬぐひ

草紅葉足を運べば手の揺れて

自註の必要もない、くっきりとした句が並ぶ。


葉牡丹として大阪を記憶せり

面白い。

ところで、大阪万博、うまくゆくのだろうか・・・。












2 件のコメント:

  1. 平常心を歩ませながら、目に入ってくる外界のそうとくべつでもない物事の面白さ、その発見を確実にキャッチしている。なにかセンスがありますねこの方。

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  2. 吟さま おっしゃる通り、特別でもないことの面白さがありました。

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