「鏡」第二十九号 より
無患子を黒いワンピースが通る 佐藤文香
無患子の実はぼんやりと透けていて、何かがぼんやり通り過ぎそうな感じ。
黒いワンピースは魅力的でもあり不吉でもあり。
炎熱の星より火星眺めけり 笹木くろえ
今年の夏は暑かった。星を見上げて涼やか、という感慨ではなく、見上げた星もギラギラと赤い火星。
目印の百日紅がもう終はる 三島ゆかり
道に迷う人は、歩くとき、目印になるような建造物ではなく、関係ないものばかりに着目して歩いているから、道が覚えられないのだという。私も方向音痴で、花や鳥など目印にならないものを見て歩いているような気がする。百日紅は夏の間中咲いていたから、頼りにしていたのに、それも永遠ではない。
大鷭は地球征服のため泳ぐ 寺澤一雄
オオバンが地球征服しそうかと言えば・・・
・・・そうかもしれない。
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