2018年11月14日水曜日

「鏡」第二十九号

「鏡」第二十九号 より

無患子を黒いワンピースが通る  佐藤文香

無患子の実はぼんやりと透けていて、何かがぼんやり通り過ぎそうな感じ。
黒いワンピースは魅力的でもあり不吉でもあり。


炎熱の星より火星眺めけり  笹木くろえ

今年の夏は暑かった。星を見上げて涼やか、という感慨ではなく、見上げた星もギラギラと赤い火星。


目印の百日紅がもう終はる  三島ゆかり

道に迷う人は、歩くとき、目印になるような建造物ではなく、関係ないものばかりに着目して歩いているから、道が覚えられないのだという。私も方向音痴で、花や鳥など目印にならないものを見て歩いているような気がする。百日紅は夏の間中咲いていたから、頼りにしていたのに、それも永遠ではない。


大鷭は地球征服のため泳ぐ  寺澤一雄

オオバンが地球征服しそうかと言えば・・・

・・・そうかもしれない。









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