2019年1月11日金曜日

句集『森へ』宇多喜代子

句集『森へ』宇多喜代子(青磁社)より


透明な傘の八十八夜かな

消灯という無理強いを星月夜

親を喰う梟を見るだけの旅

羚羊がいるこれ以上近づけぬ

冬の月わが天動説のまま動く

冬空を差配しているこの心地

対岸に用あるらしき鴨の首

心臓のかたちの餅をさりげなく

三輪山の木の芽まみれに和田悟朗

一族に赤ん坊のいる三が日

生きていること思い出す夏座敷

森の匂い書庫の匂いに似て晩夏


『森へ』というタイトルではあるけれど、さほど自然回帰という印象は受けなかった。
あくまでも思念の森であったり、自然を詠んでいても、象徴的に扱ってあることが多いように思う。

寒天に置く月一個と定めたり

定まっていることを、自分が定めたように書いているのが楽しい。







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