守宮にも蟇にも告げず引つ越しす 『鼾猫』三橋瑞恵句集(ふらんす堂)
私が子供時代を過ごした中野区の家にも、蟇と守宮がいた。蟇は、いつもは庭のどこかにいて、姿を見せないのだけれど、たまに、玄関あたりにのそりと現れてびっくりさせる。守宮は夏になるといつも夜八時ぐらいに出てきて、窓に貼りついていた。どちらも気持ちのい生き物ではない。けれど、ずっといるので、なんとなく親しみも抱いていた。今その家には知らない人が住んでいるはず。まだ蟇や守宮が出現するのだろうか。
神渡しインドカリーの太き骨 『ペリドット』山崎彩句集(フランス堂)
カレーはやっぱりチキンカレーだと思う。くたくたに煮込まれたチキンの身は、きれいにはがれて太い骨が残る。神渡しの神様は、季語の意味からすると、出雲大社に渡る八百万の神々のはずだけれど、この句ではシヴァ神とかガネーシャとか、インドの神様も出てきそう。
三橋さん、山崎さんは炎環同人。
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