2018年8月21日火曜日

『雨の梯子』 柘植史子句集

『雨の梯子』 柘植史子句集(ふらんす堂) より

人間で終る一生立泳ぎ

立ち泳ぎ、私はできないのですが、かなり筋力が必要なイメージ。
泳ぐときにまで、二本の足で立っている体勢なんて、ちょっとしんどい。
進化の過程で二足歩行を選んでしまった人間、そういう人間に生まれてきてしまった自分の不自由さが、なんだか可笑しい。


葉桜の下の大きな水たまり

瀧音に全身照らされてをりぬ

裏返す枕つめたしすいつちょん

秋の蜘蛛つよき光を返しけり

綿虫を払ひたる手の残りけり

海鳴りへ夜の屏風を据ゑなほす

薔薇守へ育つ百万本の棘

台風の近づく父のいきいきす

断水の昼を影濃きゼラニウム

春の夜の二階へあがる調べもの














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