2018年8月30日木曜日

らん No.82

季刊「らん」82号より

春の暮目鼻のありし顔ばかり  鳴戸奈菜

目鼻のあるほうが不思議なのかも。人混みをあるいているとそんな気になってくる。


わが恋やムスカリの首あまた摘む  結城万

種をつけると株が弱るから、花がらを摘んでしまう、あたりまえのようにする作業。子孫を残そうとする植物に対しては、すこし残酷。


晩春の口笛として立つてゐる  月犬

ひゅっと。


えんとつが見えて噴水見失ふ  嵯峨根鈴子

どちらかを選ばねばならないのです。


黒き字の多色ににじむ氷水  岡田一実

色の三原色。





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